タイ古式マッサージは、頻繁に耳にすることがあると思いますが、実際のところどんなマッサージが、「タイ古式マッサージ」なのかは、漠然としがちかと思います。ここでは、ココナッツブーストのジャップカサイ施術でもベースとなっている「タイ古式マッサージ」について詳しくご紹介します。
■タイ古式マッサージの起源や特徴
タイ古式マッサージ(Nuad Thai)は、タイ国(アユタヤやチェンマイ)で古くから受け継がれてきた、世界でも特に歴史が古い、伝統的な癒しの方法です。ゆっくりと体を伸ばしながら全身をほぐすストレッチが特徴で、「世界一気持ちいいマッサージ」とも呼ばれています。血行を促すことで、肩こり/腰の疲れ/冷え/むくみの改善などに効果があると言われており、深い呼吸に合わせて行う施術は、心までリラックスさせてくれます。
※なお、タイ古式マッサージ と タイマッサージ は、日本においてほぼ同義で使われています。
▶タイ古式マッサージの起源
タイ古式マッサージの起源は、約2500年以上前の古代インドにまでさかのぼるといわれています。その背景には、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」と仏教の教えが深く関わっており、心身の調和と健康を重視する思想が基盤となっています。やがて、インドのアーユルヴェーダ、中国の経絡理論、そしてタイの民間療法が融合し、独自の「セン(エネルギーライン)」理論を中心とした施術が発展しました。この伝統は人々の暮らしに根付き、疲労回復や心身の癒しをもたらす文化として現代まで受け継がれています。
▶タイ古式マッサージの特徴
タイ古式マッサージは「二人で行うヨガ」と呼ばれるほど、ストレッチと指圧を組み合わせた施術が特徴です。
<主な特徴>
1. 全身を使った施術
掌/親指/肘/膝/足など全身を使い、体の「セン」と呼ばれるエネルギーラインに沿って刺激します。
2. リズミカルでゆったりした流れ
施術は瞑想的なテンポで行われ、「受ける瞑想」とも表現されます。
3. ストレッチの多さ
パートナーストレッチの要素が強く、筋肉や関節を柔軟にする動きが多いです。
■タイ古式マッサージと他のマッサージとの違い
タイ古式マッサージは、通常のマッサージとは異なり、ストレッチの要素を取り入れながら筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的としたマッサージです。人間の身体には、骨/内臓/血管/神経などを包み込む「筋膜」という結合組織があります。この筋膜が硬くなったり動きが悪くなると、筋膜同士が癒着し、リンパや血液の流れが滞ったり、痛みやコリの原因になることがあります。タイ古式マッサージでは、この筋膜のつながりに沿って施術を行い、一か所だけでなく複数の部位に同時にアプローチします。(これが「セン」の考え方です) そのため、単なるリラクゼーションにとどまらず、身体全体のバランスを整え、根本からの機能改善を促す効果が期待できます。
▶中国式マッサージとの違い
タイ古式マッサージの「セン」の考え方と、中国式マッサージの「経絡/ツボ」の考え方は、似ているようで、実は思想の背景や目的、技法も異なります。
<共通点>
・「エネルギーの流れや通り道」を重視
・手技をきっかけとして、自然治癒力を引き出す
・結果的に、自律神経や血流の改善/心身の調和をもたらす
→タイ古式は、発展の過程で中国医学とアーユルヴェーダが融合しているため、両者は兄弟関係とも言える
<タイ古式マッサージ「セン」>
・エネルギーの通り道 : 中心的10本から無数にある
・エネルギーの種類 : プラーナ(生命エネルギー)
・経穴の概念 : 明確な点ではなく、「流れのライン」を刺激
・狙い : 筋肉/腱/神経
・アプローチ : セン全体をゆっくり圧し、伸ばし、整える
・手技 : 掌/親指/肘/膝/足など
・リズム : 呼吸に合わせたゆっくりとしたテンポ
→ 線や面を意識し、全体的な流れを重視
<中国式マッサージ「経絡/ツボ」>
・エネルギーの通り道 : 主経脈12本+副経脈8本
・エネルギーの種類 : 気(エネルギー)と血(血液/栄養)
・経穴の概念 : 経穴(ツボ)という「特定の点」を刺激
・狙い : 臓器/血流
・アプローチ : 特定のツボに鍼/灸/指圧で刺激を加える
・手技 : 掌/指/鍼など
・リズム : 症状に応じた集中的な刺激
→ 点を意識し、内臓など局所的を重視
■タイ古式マッサージによる効果
タイ古式マッサージには、身体的にも精神的にも多くの効果があります。もともと「治療」や「予防医学」として発展してきたため、単なるリラクゼーションを超えた深い効果が期待できます。実際、近年の研究では、その効果が生理学的にも検証されつつあります。
<主な効果>
・筋肉の緊張緩和により、肩こりや頭痛の緩和
・関節可動域の改善により、姿勢や身体のゆがみを調整
・血行促進により、冷えやむくみの軽減
・代謝(末梢循環)の向上により、慢性疲労の軽減
・自律神経のバランスを整えることで、リラックス
・副交感神経の活性化により、ストレス緩和や睡眠の質が向上
■世界に広がるタイ古式マッサージ
タイ古式マッサージは、今や世界100か国以上で親しまれる伝統療法です。特に欧米では、リラクゼーションだけでなく、自然療法やフィジカルケアの一環として医療/代替療法の分野でも注目されています。「心身の調和を重んじるタイの知恵」として、国際的に高く評価され、2019年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
▶タイ国内での制度
タイでは、タイ古式マッサージは「伝統医療法」のもと、保健省により正式な医療行為として認定されています。そのため、国家資格を持つ施術者が病院や保健センターで勤務しており、医師の指示のもとで施術する場合、保険適用が認められています。
※観光客向けやリラクゼーションサロンでの施術は医療行為ではないため、自費扱いです。
▶世界での知名度
タイ古式マッサージは、自然療法としては、ヨガや鍼灸と並び、世界的な知名度を誇ります。そのため、世界中に施術店が広く存在し、特に「アジア/欧米/オセアニア」では、街中で普通に受けられるほど普及しています。様々な国で、安価なローカル店からホテルなどの高級スパまで、幅広い選択肢があることも特徴です。また、世界中にセラピストの養成機関やライセンス制度が整っていることも、その他のマッサージとは一線を画します。
▶日本での普及
日本では、2000年代以降に急速に普及しました。現在では、全国の都市や街に、数千店舗あると推定されます。業態も様々で、リラクゼーションサロン/整体院/スパ/ホテル/出張施術など、多様な価格帯で提供されているため、とても親しみやすいマッサージとなっています。
現代人の生活は、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などにより、首/肩/腰への負担が大きく、ストレスや冷え、むくみといった不調を抱えやすくなっています。さらに、移動手段の発達によって歩く機会が減り、身体を動かす習慣が少なくなったことで、筋力/柔軟性/バランス力といった本来の身体機能が低下し、心身にさまざまな悪影響を及ぼしています。精神的にも肉体的にも負担の多い現代社会において、タイ古式マッサージは、心と体のバランスを整えるために、ますます必要とされる存在といえるでしょう。ココナッツブーストは、あくまでもジャップカサイの施術を専門とするため、タイ古式マッサージの手技を多用する施術はあまりありませんが、ベースとなる技術体系や思想背景はもちろん同じ源流をたどりますので、その一部をご体感いただくことができます。
施術メニュー
トッピングの「疲労回復リラクゼーション」と「足裏マッサージ」は、タイ古式マッサージでの手技となります。

